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第96回展は、未知の新型感染症への対策として、美術館が休館延長となり展示まで完遂しましたが一般公開は叶いませんでした。その後、多くの美術活動が中止や延期あるいは縮小を余儀なくされました。翌年の第97回展も同様な情勢は続き緊急事態宣言の中での搬入・審査となりましたが、辛うじて本展と全ての巡回展を開催することができました。本第98回展は、変異株のピークから減少傾向とされる中で鑑審査会が行われました。 昨年同様に新規に出品される方が多くあり、一般応募者数は266名(287点)にて、入選者は192名(192点)、当会の平均的な入選倍率より若干下回る結果となりました。なお、推挙者数は会友42名、準会員31名、会員24名という結果です。 白日会では、コロナ禍での若手作家の応援として、第97回展から第99回展の間、35歳以下の出品者の出品料を無料としましたが、34名が応募、内31名が入選を果たし、中には高校生や中学生の入選もありました。なお、白日会の鑑審査は、審査員の過半数の賛成と審査委員長の承認という制度で、公正厳正に入落、そして推挙、賞候補、授賞を決定していきます(「白日会の審査と展示、選抜の方法」をご参照ください)。作品の大きさに関わらず作品の質の高さや内容で評価する方針をとっています。 白日賞をはじめとする「会賞」の選考では、賞候補となった作品を審査会場に一堂にならべ、審査員の投票挙手とディスカッションを重ねながら徐々に絞り込みつつ、審査委員長の示唆を得ながら審査会の総意としての授賞となるような方法で厳正に選定します。第98回展は、会賞(富田温一郎賞含む)授賞者7名中、30歳代が1名、20歳代が5名となり、昨年第97回展に引き続き、若き出品者達の新鮮な制作の勢いを感じさせる結果となりました。 特別賞(富田温一郎賞を除く)の審査は3月22日の陳列日に行います。 令和4年3月18日 絵画部 常任委員会 |
第98回白日会展彫刻部の搬入点数は55点と、昨年より減少した。応募作品の数は8点と前回とほぼ同数であった。白日会の伝統である写実を中心とした堅実な作品が多く、基礎的な仕事を大切にする姿勢が見られた。 未だコロナ禍も終息せず、それに加え世界平和への挑戦ともいえる出来事も勃発するなど、大きな社会不安の中で、彫刻家がどのように対応すべきかが問われている。 白日会もまもなく100回展を迎える。作家一人一人がどのように想い、制作をしているかという芸術表現の根本的命題をあらためて考える機会であると思う。 本年の応募作品も、基本的な彫刻表現の可能性に挑戦する努力がみられ次回に期待が持てる。彫刻でどのような事が表現できるのかを、原点に帰り、新たな出発点にしたいと願っている。 100回展は通過点であり、会員諸氏の一段の努力と精進を期待したい。 令和4年3月18日 彫刻部審査主任 山本眞輔 |
構図の堅固に安定していて、揺るぎない感じに好感覚えたが、白亜の壁の鮮やかさも頗(すこぶ)る魅する。確(しっか)りした仕事ぶりは、前から注目されている処、内閣総理大臣賞に推すのは、遅きに失する観であります。 瀧 悌三(美術評論家) |
写実表現が多く見られる白日会展にあって、山本大貴の作品は抜きん出た表現力を持つ。 人物表現、衣装、家具の質感、どれも申し分無い。加えて柔らかな光の効果が画面を引き立てる。作り込まれたモチーフの設定が、虚構性を感じさせ、虚実が入れ子となったような不思議な魅力を持つ。 土方 明司(川崎市岡本太郎美術館館長) |
最近の作者は、本邦やアジアの、少し懐かしさをも感じさせる景観をテーマにしているようだ。建物や機械類の趣と雪や草木の表情とが絶妙に対比されながら雪国の自然と共にある人の営みが表されている。シャープで透明感ある繊細な感覚を伴いながら大きく深く広がる空間を描いた「写実」表現の秀作として推した。 絵画部 常任委員会 |