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搬入2日目にあたる3月13日にはマスクの任意着用が公布され、新型感染症は終息期とみなされる世情となりました。一般公開が叶わなかった第96回展から3回目の本展開催となりましたが、毎年多くの新規応募者があり、また継続して応募し、挑戦し続けている一般出品者があることを大変うれしく思います。 本第99回展は一般応募者261名(281点)中171名(172点)の入選、およそ65%の入選率という結果となりました。白日賞をはじめとする「会賞」では、賞候補者の作品を審査会場に一堂にならべ、審査員の投票や挙手とデスカッションを重ねながら徐々に絞り込みつつ、審査会の総意としての授賞となるような方法で厳正に選定しています。また賞候補に選出される際も、審査員の過半数の賛成と審査委員長の承認により厳選されます。今回は、一般出品者から28名が賞候補となり(会場のキャプションに「賞候補」のシールが貼られます)、鉛筆画の小品での佳作賞受賞作品など、当会の「写実」の理念と評価基準の質や幅を見ていただければ幸いです。なお、「会賞」(富田温一郎賞を含む)受賞者10名の年齢構成は、70代2名、60代3名、50代2名、40代2名、20代1名でした。近年は若手の受賞者が多かったのですが、今年は年齢層の幅が均等に広がった結果となりました。 なお、「特別賞」(富田温一郎賞を除く)と「法人寄託賞」の審査は3月22日の陳列日に行います。 令和5年3月15日 絵画部 常任委員会 |
新型コロナ感染拡大収束の兆しが見えパンデミックの終了が期待される一方で、世界ではウクライナを始め不安な状況が相変わらず続いており、日々の生活にも依然その影を大きく落としている。こうした中で彫刻表現を続けることの意味が、改めて問われて来ているのではないだろうか。 コロナ収束の方向とはいえ、彫刻作家にとってはこの間厳しい環境であったことは否めず、制作の継続に大きな困難さをともない、このことが出品数の減少にもつながっている。 そうした中で、全国から出品される会員の作品には、その継続の力を見せる力作が多く、公募展ならではの強い人の繋がりを感じさせる。彫刻表現には困難な状況はしばらくは継続するだろうが、この中でこそ改めて彫刻の意味、役割を問い直し、培って来た会員の力を結集し、次回第100回記念展をひとつの節として新たな白日会彫刻の展開を模索していきたい。 令和5年3月15日 彫刻部審査主任 山本眞輔 |
此の作家の婦人像は、近年注目する処であったが、今回は柳枝垂れる睡蓮池の畔に、白いドレスの女のL字形に背を起こし、足を前に投げ出すポーズ。題して「茜に懐かれて」。形体的に安定感あって、雅びの情趣も過度でも不足でもなく、無理ないのを善しとみた。なかなかに手の込んでいるのも技術の高さを覚えしめる。内閣総理大臣賞に推す所以とする。 瀧 悌三(美術評論家) |
堅実な描写力と安定した構成力により、重厚感を感じさせる風景画となっている。寂寥感漂う画面は、情感豊かであり見る者の感情に働きかける。完成度の高い作品であり、文部科学大臣賞にふさわしいと判断する。 土方 明司(川崎市岡本太郎美術館館長) |
作者固有のキャラクターの兎が旅をするという設定(兎がどこにいるのかを探させるのも作者の意図)にて、名画のオマージュに社会性や時代性を織り込むという趣向。こういう面白さとは別に、的確な調子と構成により、塔や大地の実体感や空と雲の広がりが与えられ、澄んだ画面となった。現代感覚と同時に基礎的な力量を感じさせる作品として、同賞に相応しいと評価した。 絵画部 常任委員会 |